
以前、「近隣に食料品店が少ないと、死亡リスクが増加しやすい?」という記事を書きました。
つまり、「買い物ができる」という”コト”には、実はとても大きな価値があるということでした。
この「買い物が出来る」という”コト”を、鳥羽市(各地域)で今後も持続可能な”コト”にしていく為には、
「地域の」そして「住民の」 “覚悟“が最も必要なのかもしれない。
今回は「イオン鳥羽店」さんと「神島の住民」による取組みから、わたしが感じたお話になります。

さて、今回のお話は、三島由紀夫さんの「潮騒」の舞台となった神島です。とても素敵な島なのですが、高齢者が買い物する手段が無くなってきているのです。
これに対する支援として、今でも集落支援員さんによる「買い物支援」などが行われていますが、当然限界があります。
また、このような地域課題は、鳥羽市において「離島だけの課題」とは言えず、鳥羽市全体の課題となってきています。
そこで、今回立ち上がってくれたのが、”イオン鳥羽店“さんです。
イオン鳥羽店さんは、神島の集落支援員さんが行っている「買い物支援」の現状を知り、立ち上がってくれたのです。
では実際に、なにを行ったのか?

上記の図のように、今回、イオン鳥羽店さんと神島の住民が協力して、欲しい商品が神島へ届く(試験的な)取組みを実施したのです。
手順は以下のとおり(*あくまで、今回だけの試験販売です)。
①集落支援員さんを中心に、商品を購入したい高齢者に聞き取りを行い、商品内容を紙にまとめる。
②まとめた商品内容をFAXでイオン鳥羽店さんへ送る。
③イオン鳥羽店さんで商品の準備を行う。
④定期船で、イオンの方2名が商品を持って神島へ行く。
⑤イオンの方と神島の住民が協力して、定期船から商品を運び、商品を仕分ける。
⑥その場で、イオンの方へ支払いを行う。
⑦商品を自宅へ運ぶことが難しい高齢者に対しては、神島の住民が協力して、商品を家に運ぶ。
こんな”コト”が今回行われました。
さてここで、重要なポイントは、上記の赤字です。
見てください。気が付きました?
赤字の部分は、すべて住民が参加している部分になります。





つまり、今回の買い物は「イオン鳥羽店さんだけでは、絶対に実現しなかった」という”コト”です。
今回のこの記事を読んでいただいて、「イオンさん、わたしたちの地域でもやってほしい」という声もあるかもしれません。
ただ、そこで1つとても重要なポイントがあります。
それは「地域の」そして「住民の」 “覚悟“になると私は思いました。
「買い物のために、わたしたち住民はここまで出来ます」
「それなら、わたしたち民間企業もここまで出来ます」
「では、行政はこういう部分で支援できます」
「最初は上手くいかないかもしれないが、一度やってみましょう!」
このように、「わたしたち住民は、ここまで出来ます」という声(覚悟)がなければ、いくらイオン鳥羽店さんが協力してくれたとしても、仕組み自体が成り立たないのです。
この覚悟こそが、鳥羽市の、地域の持続可能な「わたしたちの買い物」を保つ最大の手段になってくるのではないでしょうか。
鳥羽市だけではなく、日本全体の人口が減少していくなかで、「行政がもっとやるべきだ」「民間企業の企業努力でしょう」だけでは、やはり限界があるのです。
だからこそ、日本では、厚生労働省によって「地域包括ケアシステム(厚生労働省HP)」や「地域共生社会(厚生労働省HP)」の実現に向けた”自助や互助”を中心とした取組みが推進されているのだなと、今回「イオン鳥羽店×神島」を通じて私自身も身をもって痛感しました。
あくまで、今回は、今回だけのお試しの取組みにはなりますが、離島に住む高齢者が「買い物」をする手段について考え、住民が取り組んだという、とても大きな結果を得ることが出来ていました。
これは持続可能な「わたしたちの買い物」へ向けた大きな・素敵な一歩だと思いました。
鳥羽市の皆さん、今後の神島からは目が離せませんね。
記載日:令和元年5月30日