先日、生活支援コーディネーターとして、鳥羽市が毎月実施している「自立支援型地域ケア会議」に参加しました。

そのなかで、非常に興味深い「地域課題」の可能性が発見できた。

 

それは、

鳥羽市の「鳥獣害が高齢者の健康を奪う?」という事です。

 

一見、イノシシや鹿、サルなどの害獣が、なぜ高齢者の「健康」に繋がるのか、と思うでしょう。

 

そりゃ、農作業に励んでいる高齢者も多いよな。だから、被害があるんだろう。

いや、そういうことではありません。もっと根は深いのです。

 

では、見ていきましょう。

 

上記は、

鳥羽市鳥獣被害防止計画(作成:平成29年2月1日)から引用した報告の抜粋です。

 

今回、大事なところを赤字にしました。

 

そう、鳥獣害は、生産者の「生産意欲低下を招いている」のです。

 

そうでしょうね。農家さんは大変だ。困るよね。

いやいや、それで済ませないでください。

 

確かに、このデータは、農家さんを中心に作られたデータかもしれません。

 

でも、たいせつなポイントは、

鳥羽市で農作物をつくろうと思ったとき、鳥獣害の被害にあってしまうという事です。

 

これに関しては、「農家さん」も「個人」も同じですよね。

 

ここで、今回のタイトルを思い出してください。

 

鳥羽市の「鳥獣害が高齢者の健康を奪う?」でした。

 

そして、たいせつなポイントは、

鳥獣害があることで、「生産意欲低下を招く」ということです。

 

さぁ、ここで、鳥獣害と高齢者の健康をつなげていきます。

 

 

上記のように、

鳥獣害による被害は、生産者の生産意欲低下を招いてしまいます。

 

そうすることで、高齢者の生産者(農作業を行う人)は、農作業を止めてしまう人も多い。

 

今まで野菜をつくることで、家庭内にあった、その「高齢者」の役割や生きがいが、そこで失われてしまう可能性が出てくるのです。きっと、外出機会も減っていきます。

 

そうなれば、閉じこもり傾向や、うつ傾向、認知症になる可能性も上がっていくかもしれません。

 

また、活動量が減ることで、運動機能が低下する可能性は確実に出てきます。

 

農作業というハードワークをしていた高齢者の時間が、テレビを見る時間に変わっていけば、筋肉や体力が落ちていくのは当然です、わたしたちもそうでしょう?

 

こうやって、巡り巡って、鳥獣害での被害が、高齢者の健康を奪っている可能性があるのです。

 

高齢者の健康を保っていくには、医療や介護、福祉のチカラだけでは、厳しさがあるのです。

これらを取り巻く環境と一緒に考えていかなければ、わたしたちの(未来の)健康を保つことはできない。

 

だからこそ、厚生労働省が掲げる「地域共生社会」の下記の図の中(厚生労働省:「地域における住民主体の課題解決強化・包括的な相談体制のイメージ」より引用)には、周りに、医療・介護・福祉ではない関係機関がずらりと並んでいるのです。

 

今回の記事にも大きく関わってくる「農林水産」もしっかり書かれていますね!

 

 

こうやって、一見、高齢者や福祉に関係のないことも、実は密接に関わっています。

だからこそ、こんな記事が医療・介護・福祉の現場とは違う方々に届けばいいなと思っています。

みなさま、今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

記載日:令和元年6月3日

lp